
アリョール
アルトロン 発売日:94.8.5 機種:SFC
例によって、原文のままだと平仮名ばかりで読みづらいことこの上ないので、読みやすいように漢字に変換してあります。
昔。そんなに昔ではない昔。
まだエンジンが1000hpを越えられなかった頃。
そんな弱いエンジンで空を被う伝説の竜のような巨大機を造ってる人達がいた。
やがて、客はスピードを求め、大きいだけの巨大機は役に立たなくなっていった。
それでも巨大機は造り続けられた。
そんな巨大機の時代、たった2機だけ造られた伝説的巨大機。
その2機目、「アリョール」。
これは、そのアリョールにまつわる話である。
「子供だった頃、ひどい嵐の夜があってね。あたしの子守りだったばあさんが、
『雲の中の悪い竜が嫌がらせに暴れているから嵐になるんだよ」って教えてくれた。
それであたしは、『そんな悪い竜はあたしが大きくなったらやっつけてやる。』って言ったんよ。」
長身の彼女は、僕の顔をを見てそう言った。
「それで飛行機盗んで捕まったんだけどね。…あんた、こんな話聞いても笑わないんだね。」
僕は気付いていなかったが、よほど真面目な顔をしていたのだろう。
「まあ、いいや。こっから出て暇だったらうちに遊びにおいで。」
彼女はそう言って、出て行った。
出所してずいぶん経つが、思ってみれば自分が彼女と一緒にいる訳が、とんとわからない。
何か借りがあるでもなし、ましてや貸しがあるわけでもない。
それなのに自分が彼女といるというのは全くもってわからない。
彼女に甘えて彼女と一緒にいるが、いろいろと訳あって、国営銀行のお金をちいとばっかし、頂いてしまうという事になった。
まずは準備の体操。
もとはと言えば彼女は飛行機にどうしても乗りたくて、せめて近くに居ようと空軍の補給員として入って、そこで飛行機の操縦を覚えたそうだ。
よっぽど飛行機に乗りたかったんだろうね。
でも、操縦士としてもう一度入ろうとしたら『女性だから』って事で断られて、それで飛行機盗んだら捕まったんだと。
そんでもって、彼女としては、『世界で最初、女性パイロットがお客様を安全に運びます。』ということで操縦士に使ってもらいたくて飛行機会社を回ったけど
真面目に取り合ってくれない。
ええい、こうなったら自分で会社を作ってしまうしかない、ってな訳で国営銀行に乗り込む訳です。
ばーんと扉を蹴破って、ライフル構えて、決まり文句を一言。
「はい、手を上げてちょーだいな。」
唖然としている客には構わず、彼女はカウンターの銀行員に歩み寄る。
「ま、そんなわけでお金貰っていくから。袋に詰めてね。」
ニコニコしながら言う事じゃないな、普通。
さて、今度は逃げてます。
国営銀行の金を持ってきちゃったからには国内にいるわけにはいかない。
とりあえずは金を運びやすい物と変えた。大分ふっかけられたがそれでも金をふんだんに使った立派な冠が買えた。
どーも追いかけられているような気がする。もちろん、気のせいなのだけれど。
で、国外に逃げないとならない。けど、簡単には逃げられない。
なにしろ、国外に出ればちょっとやそっとでは捕まえられないとわかっているのだから、警察としてもおいそれと国外には出させてくれない。
飛行場には来たけれども、見張がいるんで、内緒で乗るしかない。
やっとの事で貨物室にもぐり込んだ。もう冷や冷や。何度見つかったと思った事か。
「こいつはアリョールって言うやつでね、1000kmは飛べる。すごいだろ。950hpのエンジン6発で60人まで乗れるぞ。
今んとこ2機造られたけど1機は国外に売っちゃったからこの国には1機しかない。これで国境まで行けば、すぐ外国だ。」
少しでも外を見ようと扉に張り付いた彼女が早速話し始める。
「ずいぶん霞んでるなー、これはくたびれるぞ。」
彼女はまるで自分が操縦しているかのように呟いた。
ちゃんと飛ぶんだね、こんな巨大な飛行機でも。
ところでこの機体、彼女の話によると機体の強さの為にいたる所が2階建てになっていて、この貨物室も低い屋根の上にもう1階、貨物室がある。
扉は下にしかないので積み込みを楽にするためにエレベーターが階の間に付いているのだけれども、彼女から飛行機の話を聞いていると上の階から足音が聞こえた。
息をひそめていると、エレベーターのダクトを通じて上の階からヒソヒソと話が聞こえる。
こんな飛行中に貨物室に入ってくるなんて変なので、ダクトに身を乗り出して聞き耳をたててみる事にした。
「爆弾は?」
「機関室横のおれの部屋に。」
「おれは補給地で降りてラジオに知らせる。お前はパラシュートで逃げる。いいな」
「ファシストどもに一泡吹かせてやる。」
ま、そんな話だった。まさか貨物室に人はおるまいと打ち合わせをしているらしいが、これは大変ではないか。
どうやら過激派がこの機に爆弾を仕掛けたらしい。
「とりあえず逃げて、改めて航空局に連絡するしかないでしょ。あたしらがノコノコ出てっても操縦士が言うこと聞くとは思えないし。」
はあ。でも飛んでる飛行機からどうやって逃げるんでしょ。
「パラシュートでさ。そこにあるのがそれさね。」
で、パラシュートを身に付けて、扉を開いて驚いた。すげー高いやん。
「なぁに、慣れちまえばパラシュートなんてたいした事ないぞ。あたしも初めてだけれど。」
彼女は事も無げに言ってのけた。
このままパラシュートが開かなかったらどうしようかとも思ったけど、ちゃんと開いた。
パラシュートが開いた時は、首が外れたかと思った。
でも、いざ開いてしまえばゆっくりと落ちるので辺りを見回す余裕も出来る。
空から見る景色は素晴らしかった。盗んででも飛行機に乗ろうとする気持ちもなんとなく、わかるような気がする。
風に揺られてフラフラと舞いながら、国外に逃げて飛行機の会社を作ったら自分も何かで乗せてもらえたらうれしいな、とか思っていた。
飛んでる時はよかったけど、着地は酷かった。何しろ着地しようにも、辺りは全部水だもの。
着水したらパラシュートが覆いかぶさってきて、溺れるかと思った。
幸い彼女が泳ぎにも長けていたので浅い所まで連れてってもらって何とかなったけれども、あやうくパラシュートで溺れてしまうところであった。
ただし、鞄に入れておいたダイナマイトが濡れてしまったのはちょっと残念。
ま、冠が無事だったからいいっか。
とにかく電信局まで行って、航空局に爆弾の事を知らせないと。
電信局の局員は水を滴らせる2人を不思議がったものの、幸いにもお尋ね者とばれなかったのでお金を払って電信機を使わせてもらうことにした。
ところが、「航空局は電信機をもっていない」という。
とりあえず最寄の警察に連絡を取って、そこの警官に航空局まで逝ってもらって誰か連れてきてもらう事になった。
「これから国外に逃げようというのに、わざわざ警察を呼ぶってのも変な気がするね。」
待ってる合間に、彼女が振り返って言う。
こういう時って、待ってるのが長く感じる。
やっと現れた相手に向かって、彼女はしばらく怒鳴るように話していたが、やがて電信機を叩きつけるようにして、出てきた。
「いたずらはよせ、とさ。」
おいおい。それどころじゃないって。
「さあ、どうする。」
どうするってもねぇ。
「あたしはこうなったら自分で爆弾処理に行くしかないと思うんだけどさ。」
そう言ってもねぇ。
「さて、飛んでる飛行機にどうやって乗るかなんだけども。」
補給地でもぐりこめばいいじゃない。
あんな巨大な飛行機なんだからそんなに速くは飛べないだろうし、補給にも手間がかかるでしょ。
「あ、それいいね。あんた、来る必要ないよ。その冠持って逃げな。」
そうはいかない。爆弾だったら僕のほうが詳しい。
結局、停めてあった連絡サイドカーをちょっと借りていく事にした。
さて、彼女はまっすぐ補給地のオムスクへは向かわず、近くの空軍飛行場へ行くと、そこにあった飛行機を1機、ちょっと借りてさらにオムスクを目指した。
なるほど、この方がまっすぐサイドカーで走るよりずっと速い。
ところが、あまりに急いで近道するあまり、雲の中へ飛び込んだのが間違いだった。
寒いし、湿っぽいし、この雷をどうしてくれる。
当たったら「痛い」どころじゃすまないぞ。
おや、前に何かいる。近づくでもなく、離れるでもなく前を飛んでいる。
「空軍機かもしれないぞ。」
風に乗って彼女の声が聞こえる。
その時、前の飛行機は翻って向かってきた。
大きい!みるみる目の前いっぱいに影が広がる。
雲から飛び出してきたのは空軍機などではなく、巨大な竜であった。
巨大な翼で滑空してすれ違うと、またも身を翻して追ってくる。
なんか、この飛行機が気に入らないのか、捕まえるつもりらしい。
「やつだ!撃っちまえ!」
前から嬉しそうな声が聞こえる。やむを得ず、機関銃でパラパラと撃つが、ぜーんぜん効いてませんね、はっきり言って。
僕の見た限りを言えば、竜に対して機関銃を撃つというのは、全く効いていないばかりか、かえって怒らせるだけでしか、ないようだ。
彼女が振り向きざまに言う。
「思い出すねぇ、子どもだった頃を。」
そんな事はどうでもいいじゃない。
今頃下では、どうなっていることやら。
逃げ切った頃には飛行機の後ろは何度か噛まれてたので、どうにかこうにかオムスクの近くの原っぱまで飛んだものの着地は見事とは言いがたかった。
彼女は僕を飛行機から引きずり出し、幸いにと言おうか、とりあえず何ともなかったを見て安心し、積んであった双眼鏡で飛行場を見始めた。
「あの竜、怒ってたね。」
彼女が言う。
「きっと下では嵐だったぞ。」
続いて彼女の笑い声。
余程、竜を見たのが嬉しかったのだろう。
「そら、いい眺めだぞ。」
彼女に渡された双眼鏡の中には、不思議な世界が広がっていた。
巨大なアリョールが飛行場の端に止まり、小人のように見える補給員があたりを駆け回り、おもちゃのような補給車が止まっている。
それは、金属の竜に仕える召使いのようであった。
「そろそろ乗り込もうか。」
彼女の声に、ハッとした。
ところが、ライトの明かりを交わしているうちにサイレンが飛行場に響いた。
「まずいよ、走れ!」
まず、彼女が貨物扉のロックを外して飛び乗る。続いて走り出そうとしたその時、なんと滑走路脇のライトに足を引っ掛けて転んでしまった。
慌てて立ち上がると、すでに彼女を乗せたアリョールは滑走路をかなりの速さで走り始めている。
「早く!」
彼女は叫び、手招いている。
貨物扉脇の手すりをつかみ、滑れば落ちて怪我をしかねないというのに全身を乗り出している。
「まだ間に合う!早く!」
走るのは嫌いなのだが、考えるよりも先に走り始めていた。
そんなこんなで彼女につかまれ、やっとこどうにか引きずり上げられた。
「ちょいと過激派を捜してくる。」
彼女が仰向けに転がって全身で息をしている僕の肩を叩いて言う。
「そこに更衣室があるんで、スチュワーデスのふりをして過激派をここに連れてくる。そしたらなんかで、倒してちょーだい。」
息が詰まってしゃべれず、首をかくかくと振ってわかった事を示すと、彼女は僕の頬をつついて貨物室から前の通路へ出て行った。
きっと彼女のことだから、上手いことやるだろう。
あ、あたりを探っていたら貨物室の中にライフルがあるのを見つけてしまいました。これはなかなかよい。
と、ちょうど彼女が帰ってくるところだ。
「おい、ちょっと待て。」
突然、過激派の声が聞こえた。
「どうかしまして?」
彼女が何でもないように答える。
「貴様、スチュワーデスじゃないだろう。」
続いて足音。
陰に隠れている僕の横にスチュワーデスの服を着た彼女の姿が見える。
「何故です?何かおかしなことでも?」
「スチュワーデスは安全靴なんて履かないんだぜ。」
言われてから気が付いた。彼女、帽子からスカートまで着替えたが、靴を履き替えなかったらしい。
彼女は動かないが、横顔を冷や汗が伝うのが見える。
やむを得ない。とっさに飛び出してライフルを撃った。過激派の持った銃からも弾が飛んでくるが、とっさのことで全て外れた。
次の弾を込めようと陰に隠れると、彼女もちゃんと物陰にいる。
「ありがと。あたしもばかだねぇ、靴に気が付かないなんてさ…それ、よこしなよ。銃はあたしの方が馴れてる。」
僕は彼女にライフルと、銃弾の入ったカバンを投げ渡した。
過激派が2人とも弾を撃ちつくして、次の弾を取り出そうとぐずぐずしているすきに彼女が走って飛び込み、ライフルでキョーレツなのを食らわせてやりました。
で、こいつは更衣室のロッカーにいれて、鍵を外からかけてしまっといて、大切なのは爆弾だ。
機関室横のそいつの部屋に行ってみると、机にネジ止めした箱が置いてある。
これはプロの作った爆弾ですよ。外に捨てることも出来ないようにネジを外せば爆発するようになってるんでしょう。
爆弾はそんなに大きな物ではないが、壁の向こうには950hpのエンジンがある。
ちゃんとした物があればまだしも、何にもなしでこれだけの爆弾を処理するとなれば、ちょっと間違えただけでおしまいだ。
僕はその事を彼女に言った。
「あ、そう。」
彼女はスチュワーデスの帽子を脱ぐと、僕の持ってた冠を被った。
そして、僕を見る。
「べつに、いいよ。」
彼女はそれしか言わなかった。
ルート1…まずはバッドエンド。4時間以上でこっちだったハズ。
ところが、最後でミスをした。
バネ仕掛けのスイッチが跳ね上がりそうになるのを慌てて押さえたが、もう離せない。離せば爆発する。
「なんとかなるんだろ、おい。」
彼女が妙に静かな声で言う。
何かひもできつく縛ってスイッチが動かないようにできれば、後もう少しで処理できる。
「あたしが押さえるんじゃダメなのかい?」
僕が押さえても、彼女が押さえても、そのうち疲れてしまうだろう。そんなにすぐには処理できない。
「ひもねぇ。ひもってもねぇ。」
しっかりしたひもでないと、切れてしまう。どこにでもあるひもでよいのだが。
「どこにでもある、ひもねぇ。」
彼女も考える。どこにでもあるひもというのは、こういう時にはない。
その時、機が大きく傾いた。危なくスイッチを離しそうになる。
「着いた。」
彼女が短く言った。もう、間に合わない。
過激派の連絡を受けた爆弾処理班がやってくる。
「あんたはよくやったよ。」
彼女はささやくように言った。
僕らは逃げようとすれば逃げられたのに、客を助けるために捕まったという事でなんか、ヒーローになってしまった。
記者が飛行場で待ち構えている。
もし、爆弾を処理しようなんて思わずにまっすぐ逃げていれば、今頃は国境を越えていたかも知れない。
何となく、彼女にその事を言ってみた。
「バカ言うなよ。たかが遊んで暮らせるようなはした金のために60人もの人が殺せるか。」
彼女はそれだけ言うと短く、小声で笑った。
記者のフラッシュが、その顔を照らした。
やっと出てきた刑務所にまた入る事になった。
今度は彼女と別の所に入れられたので、彼女とは会っていない。また会えるかどうかも分からない。
嵐が来るたびに、彼女の事を思い出す。
ルート2…いわゆるノーマルエンドです。2時間以上3時間59分以内ででこっちかな?
ところが、最後でミスをした。
バネ仕掛けのスイッチが跳ね上がりそうになるのを慌てて押さえたが、もう離せない。離せば爆発する。
「なんとかなるんだろ、おい。」
彼女が妙に静かな声で言う。
何かひもできつく縛ってスイッチが動かないようにできれば、後もう少しで処理できる。
「あたしが押さえるんじゃダメなのかい?」
スイッチといっても小さな物ではなく、長さ60cmほどの金属の棒がバネでピンセットのように開こうとしているものだ。
僕が押さえても、彼女が押さえても、そのうち疲れてしまうだろう。そんなにすぐには処理できない。
「しょうが、ないよね。もうすぐ着いちまうんだからさ。」
彼女は独り言のように言うと、かぶっていた冠をスイッチの端にかぶせ、2本の棒を冠の内側に触らせたまま、ゆっくりと開いていく。
なにも、起きない。
冠に使われている金属を通じて、スイッチは触っているからだ。
やがてスイッチは大きく開いて止まった。冠がストッパーになるのでもう開かない。
その時、大きく機が傾いた。
もうすぐ着地だ。
「さあ、逃げよう。」
彼女が言う。
早く逃げないと、過激派の連絡を受けた爆弾処理班がやってくる。
「あんたはよくやったよ。」
彼女はささやくように言った。
飛行機が降りる前にパラシュートで飛び降り、ボートを借りてこの向こうへ着けば、そこは外国だ。
「わりぃなぁ。あんなに大変な思いさせてさ。」
彼女はまだそんなことを言っている。
僕は黙々とボートを漕いでいる間、彼女には悪いけれども彼女と2人きりでいれるこの時を楽しんでいた。
国境は越えたけど、お金はない。
でも彼女はいたって気楽なもので、
「なあに、また国境を越えて戻って国営銀行からちいとちょろまかしてくるわ。」
と、いきまいています。
彼女といると、楽しいね。
ルート3…グッドエンド。2時間以内でこっちです。
ところが、最後でミスをした。
バネ仕掛けのスイッチが跳ね上がりそうになるのを慌てて押さえたが、もう離せない。離せば爆発する。
「なんとかなるんだろ、おい。」
彼女が妙に静かな声で言う。何かひもできつく縛ってスイッチが動かないようにできれば、後もう少しで処理できる。
「あたしが押さえるんじゃダメなのかい?」
僕が押さえても、彼女が押さえても、そのうち疲れてしまうだろう。そんなにすぐには処理できない。
「ひもねぇ。ひもってもねぇ。」
しっかりしたひもでないと、切れてしまう。どこにでもあるひもでよいのだが。
「どこにでもある、ひもねぇ。」
彼女も考える。どこにでもあるひもというのは、こういう時にはない。
「ひもねぇ…お、こんな所に。」
どれほど経ったのだろうか。つぶやいていた彼女がいきなり靴を脱ぎ始めた。
何をしようとしているのか聞こうとして気が付いた。
「そら、今結ぶからな。」
彼女は安全靴からぬいた靴ひもでスイッチを縛りつけた。
「国境は越えたぞ。もう安心だ、な。」
彼女が僕を引き寄せた。いつの間にか冠を被っている。
「あたしら、いい組み合わせだと思わない?ねぇ。」
レールの継ぎ目の音に乗せて、彼女がささやきかけてくる。
「ちっとは嬉しそうな顔しなよ。」
彼女に顔をつつかれたが、気持ちが妙にからまっていて、僕はどんな顔をしていいのか遂にわからなかった。
冠を売ったお金で彼女は飛行機を1機買い、飛行機1機、社員2人の小さい会社を作った。
いろいろと苦労はあったものの、今では世界でも珍しい女性操縦士とその手伝いとして頑張ってます。
ちなみに、彼女は会社が大きくなったらアリョールを買い取るつもりだそうで。
笑っちゃだめだよ。まじめな話なんだから。
戻る